咲かない花。

遅咲きでも狂い咲きでも良かったんだけど、なんか咲かないっぽい。それが私。

ザビエルが後世に伝えたかったこと。

「お父さん知ってる? ザビエルゾーンをマッサージだって」

 16歳の長女が、美容グッズに書かれていた説明を読み上げて教えてくれた。
 ザビエルゾーン。聞いたこともない。私が知っているザビエルといえば、室町時代に日本を訪れたカトリック宣教師のフランシスコ・ザビエルしかいない。

 

 でもこのザビエルが美容と何の関係があるのか。TゾーンやUゾーンなら知っている。おでこと鼻筋のラインがTゾーンで、両頬とアゴを繋いだラインがUゾーンだ。

 そこまで考えたところで、私はある可能性に思い至った。改めて脳内にザビエルの肖像画を思い浮かべてみる。
 嫌な予感を感じつつも、私は努めて平静を装い長女に聞いてみた。

「それで? ザビエルゾーンってどこなの?」

「頭頂部」

 メーデーメーデー。イジっている。全力でザビエルの頭頂部をイジっている。こんばんは。イ・ジッテルです。本日夜9時から始まる新ドラマ『恋の横着』に出演します。ぜひ観てください。

 絶対に観ない。パクリ臭がスゴい。いやそんなことはどうでも良い。でもこれは良くない。無駄に厳しいコンプライアンスを振りかざしてあらゆる事象を責め立てる昨今のくせに、ザビエルの頭頂部だけは都合よくコンプラ適用外か? そうは問屋が卸さないぜ。問屋(笑)。

 日本に初めてキリスト教を伝え、日本人に対して「他のどの国の民より優れており、親しみやすく善良で悪意がない」と最高評価を下し、死後は列聖され聖人にまでなられた聖フランシスコ・ザビエル。500年も後になって、自分の頭頂部を美容ゾーンとして揶揄されるとは、よもや思いもしなかっただろう。

 そもそも、彼のあの頭頂部は自然由来なのか? 自分で意図的に施したヘアスタイルの可能性も払拭できない。「これイケてるっしょー」とか言って。いや全然イケてない。良くて河童、悪くて逆ラーメンマン

 いずれにしても、ザビエルが後世に残したかったのは、ザビエルゾーン。コレではなかったのだろう。


 ちなみに日本に初めてメガネを持ち込んだのもフランシスコ・ザビエルと言われている。そんなものを持ち込む前にズラ持ち込めザビエル。