咲かない花。

遅咲きでも狂い咲きでも良かったんだけど、なんか咲かないっぽい。それが私。

整形したいと言い出した

 大学2年生になる知人の息子さんが、目を整形して二重にしたいと言い出した。まぶたにノリを塗ったりテープを貼ったりする毎日に嫌気がさしたらしい。

 知人は我が子の整形には反対の立場を表明している。「必要ない」「ありのままの自分でいれば良い」が知人の主張。

 同意しかねる。わたしだってキリストに「必要ないのですよ」と優しく言われても絶対にパンツは履くし、ブッダに「ありのままの自分で良いのですよ」と目を見て諭されてもハゲればヅラを被る自信がある。むしろ謎の自負すらあったりする。

 もしわたしが『必要ないから』『ありのままの自分で』などという理屈でパンツも履かずハゲ散らかして天下の往来を歩いていたら、それはただわいせつ物を陳列しているだけの変態だ。ごめんハゲは関係なかったわ。

 キリストやブッダに責任が取れるのか。教典に変態を救済する教えが? あなた方は聖人と崇め奉られているが、わたしは性人と蔑まれて今世に寄る辺はなくなる。全く割に合わない。

 閑話休題。なぜか二重の整形から変態の話になったので本題に戻す。

 必要がないかどうかは本人にしか分からない。ありのままの自分にコンプレックスを抱えて生きるなら、整形して心穏やかでいられる方が良い。法に触れず他者に害を及ぼさないのなら本人の自由にすれば良い。

 

 その日の夕食時。

私「で、知人にはそう言ってやったわけよ。昔とは感覚が違うんだからってね」

娘「へぇー理解あるね。でもその息子さん、埋没式と切開式のどっちにするんだろうね?」

私「何が?」

娘「整形のやり方。わたしなら埋没式がいいかな。切開式に比べて経年劣化が早いけど、簡単で費用も安めだし。何よりやり直しが効くってメリットは大きいよね」

私「……なんかキミ、やけに詳しくない?」

娘「そお?」

私「え、もしかして整形したかったりする?」

娘「うーん。今すぐじゃないけど、そのうち出来たらなあって思ってるよ」

私「必要ない。ありのままの君でいい」

娘「ないわーこの人」

 メーデーメーデー。そんな話は聞いてない。どうしよう娘のメガ。いや娘の名画。いや娘の姪が。いや娘ノゲイラノゲイラ? 総合格闘家の? 娘がノゲイラはちょっと勘弁。

 娘が整形したいと言い出した。どうするわたし。ついでにどうする家康。